若手社員
プロジェクト
珍道中
Case.2 -
ストレスフリーに仕事をするためには、
実は、コミュニケーションは不要だった!の話
このブログを読むと、こんなことが分かる!
①仕事(アウトプット)におけるコミュニケーションとは何か?
②仕事における「ルール」の大切さとは?
③感情が絡むことで「大変!」「複雑!」に見える仕事を、
どうシンプルにしていくか?
ー主人公
Kさん
4年目新卒 経営企画室
こんにちは。
サンケイエンジニアリング4年目社員のKです。
薬学部を卒業後、大学院で医学系の研究を
していました。
入社以来2年間 営業チーム所属だった私ですが、
3年目にして突然製造現場勤務となり、コミュニケーション不良によって凍り付いていたチーム間の橋渡しに奔走する事になります。
ー登場人物
営業チーム
お客様からの注文を受けて、
製造現場に指示を出す部署です。
注文情報や製造指示などの情報を、
社内システムに入力します。
出荷チーム
お客様が注文した製品をそろえ、
発送する部署です。
社内システムの情報を基に、正しい製品を正しい相手に、約束した日に届けるのが仕事です。
受注から出荷までのフロー
ー出荷チームからのSOS!?
入社4年目の冬、突然上司から
「出荷チームがSOSを出している」、と伝えられました。
正直驚きました。私の中での出荷チームと営業チームは頻繁に
チャットを交わして、しっかり連携をとれているイメージだったからです。
出荷が遅れることもなく、当日出荷も問題なく対応していて、
とてもSOSが出てくるほどのヤバさとは感じていませんでした。
何かあったんですか?
Kさん
Kさん…正直しんどいです。
とにかく時間に追われていて、大変なんです!!
助けて下さい!!
必要な情報が全然整理されていないんです。
不足している情報もあるので、都度営業チームに問い合わせるんですが、なかなかすぐには回答が返ってきません。
出荷時間は決まっているので、
スムーズに情報を得られないと気が気じゃなくて…
やっと返信がきた!と思ったら、「前にもいったよね…」って言われちゃうし…
もう、ストレスの限界です!
出荷チーム
え?え?
どういうことですか??
Kさん
と、ここから調査を開始しました。
出荷チームでは、お客様からの要望を取り入れて日々出荷をしています。
当社は5,000社近くのお客様と取引をしているのですが、
毎日の出荷件数が平均40件あり、
その内10件分はお客様特有のご要望に対応しています。
このご要望というのが、お客様ごとに内容がかなり多岐にわたります。
例えば…
・出荷後、納品書をFAXしてほしい
・特定の製品には、
毎回検査成績書を添付してほしい
お客様A
・うちの会社の書式で納品書を発行して、
同封してほしい
・この製品は、特別な梱包をして欲しい
お客様B
こんなにも多岐にわたる要望があるのに、
対応するために必要な情報が整理されてない上に、不足部分も
たくさんありました。
調査のあと、今までよく滞りなく製品が出荷されていたものだ、
と認識を改めました。
よくこの状態で滞りなく出荷できていましたね。
かなり大変なんじゃないですか?
Kさん
はい。はい。とても、とても大変です…
業務内容は他の人が思っている以上に複雑なので、
慣れてない人には心配で簡単に任せられないし…
お客様に迷惑がかかるかも、そう考えたら、
なかなか休みもとれません。
私達も出来るだけ複雑にならないように手順書や
資料の整理をしたいんですが、その時間も無くて…
しかも!チームの責任者らしい人もいないんです!!
助けてくれる人もいないんですよ!!
出荷チーム
出荷チームのストレスは相当なものだったんでしょうね。
Kさん
はい・・・・(消え入りそうな声)
出荷チーム
ふむ。これはなんとかしなければ。。。
しかし、あれれ??
普段から営業チームと沢山チャットでやりとりしていたような?
ちゃんと読んでなかったな。どれどれ…
【営業チームと出荷チームの
Chat】
今日出荷のお客様について、
ここを確認したいんですが…
出荷チーム
え?それはココ(社内システム)に
書いてあるでしょ。
(なんでそんなこと聞くの?)
営業チーム
書いてないから聞いてるんですけど?
(前にも言ったのに、
社内システムに書いてくれてないし~~~)
確かにこの場合はこの書き方で良いんですけど、今回は違うじゃないですか。
出荷チーム
え、待って。そんなパターンって
ありうるんですか?ないですよね?
営業チーム
あります!前にも一度やりました!
(でも数年前の事だから、念のため
確認したいのに~~
とにかく返事をして!!)
出荷チーム
いやいや、全然コミュニケーションも連携も取れてないじゃないですか?!
これではいくらチャットのやり取りが多くても意味がないし、
やり取りに時間を取られて、残業も増えてしまいそうです。
このままではいけない。
と解決すべく、踏み込んだ調査をかねて、
現場に踏み込みました!
ー混沌を紐解け!!
現場への立ち入り開始
現場でいったい何が起きているのか?
さっそく現場へ立ち入りました。そこで目の当たりにしたのは、
ブラック企業(!)寸前の現場の空気でした。
出荷チームの皆さんの表情は固く、会話も少なく、
余裕を失っているようでした。夜も遅くまで残業しています。
定時を過ぎても、まだまだ作業は終わりません。
まず、出荷チームの行動を詳しく調べていきました。
・出荷チームの行動、アクションひとつひとつは?
・作業時に見ている画面は?
・作業時に使っている資料は?
・お客様に提出する書類の書き方は?
調査を通じて、実際のアクションと資料等を明確にし、
混沌とした出荷業務の実態を明らかにしました。すると...
<明らかになった問題点>
①お客様の要望情報が色んな場所・色んな媒体に
散らばっている!!
お客様の情報、どこに載っているのでしょうか?
集めてみました。
・営業チームが作成した社内システム内の情報
・出荷チームが独自に作成した独自ファイル
・出荷チームが独自に作成した手書きリスト
Kさん
いっぱいあるぅ!!!!(白目)
というか何だこの付箋の量は!?
「呪いの書」!?
よくいっても古文書(解読不能)!
実際に一部業務をやってみましたが、
資料を見る手順が複雑でよくわからず。。。
分からない時は、現場メンバーに確認を取らなければならない
ので、すごく時間がかかりました。
この状態では、新しいメンバーを迎えて仕事を覚えてもらうのは
難しい状況です。
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②要望情報の「更新ルール」が、
決められていなかった!
基本的に、情報はお客様 ➡ 営業チーム ➡ 出荷チーム
の順で流れます。
しかし、どの資料の、どの情報を、誰が、どのタイミングで
更新するのか定まっていなかったのです!
伝達方法もチャットだったり、電話だったり、
社内システムが勝手に更新されてたりと、まちまち…。
その結果、情報の新旧が入り混じり、
「本当にこの情報あってる?」という不安が生まれていました。
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③「出荷」を取りまとめる責任者がいなかった!
それにより、出荷チームのメンバーは「通常の業務」だけで
なく、本来責任者がやるべき仕事もしていたのです。
例えば…
→自分たちで時間の調整をしないと...
→でも自分たちで頑張るしかない...
→自分たちで営業チームやお客様に訊かなくちゃ....
時間がないなあ...
結果、部分最適なルールが積み上がり、
責任者不在でも失敗しないように全方向に注意を払いながら、
必死に頑張っていた、という印象でした。
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これら3つ、全ての問題点が全て積み重なって
「呪いの書」が作られたのです。
呪いの書が出来るまでの流れ
二度と呪いの書を生まないためには、これらの問題点を生んで
いる混沌(カオス)を解消しなければ!!
混沌(カオス)を解決するために、
「ルール」を決める時が来たようだ。。。
ーばっさばっさと
ルール設定大作戦!
「ともかくやってみよう!」と一念発起し、
営業チームとの打合せを重ねてルールを決めていきました。
1.出荷業務で使用する「単語」の定義を決める
いきなりルールを設定する前に、まずはルールに使われる
「単語」の定義決めをするところから開始しました。
例)「伝票」とは?⇒「請求書」「納品書」
「出荷案内書」「受領書」のこと…等。
★改善Point
意外と単語レベルのすれ違いが大きな食い違いに発展する
リスクがあるため、大事な工程です。
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2.「通常の出荷業務」と「イレギュラー」を決める
現状
・「出荷業務」そのものの手順が明文化されていなかった
・営業チームは、出荷チームの作業内容・必要な情報を
知らなかった
どおりで、営業チームが社内システムに書き込む情報が
不足していたわけです。
なので...
・「通常の出荷業務」の条件を細かく設定し、明記
・「通常」の条件に当てはまらないものは、「イレギュラー」
として定義
→出荷チームメンバーが独自の判断をしなくて済むように!!
★改善Point
「通常」を決めることで、判断に悩む時間を無くせます。
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3.お客様の要望情報を、どこに記載するか決める
全ての要望情報は、社内システムに集約する事にしました。
新ルールでは、営業チーム・出荷チームは共に社内システムの
同じ画面を見て情報を共有します。
つまり「呪いの書」は要らなくなったのです!祝!!
★改善Point
余計な資料を作成する必要がなくなります。
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4.お客様の要望情報の、記載方法を決める
具体的に社内システムへ載せる内容と、記載方法を決めました。
営業チームと出荷チーム両方の意見を取り入れて、
記載しやすく、情報が見やすい記載方法を決めていきました。
★改善point
情報を検索する時間が減ります。
ーコミュニケーションの正体は?
たった4つのことを決めただけで、出荷チームと営業チームは
見違えるようにスムーズに連携がとれるようになりました。
以前より良いコミュニケーションがとれているようです。
ここでふと疑問を感じました。
そもそもコミュニケーションってなに?
別に飲みにいったわけではない。プライベートで仲良く
なったり、会話の機会を増やしたわけではないのです。
決めるべきことを決めただけ。
そうしたら、シンプルな確認だけで仕事が
サクサクすすむようになった。
う~ん。仕事のコミュニケーションってなんだ?
ちょっとここで、現場の新旧を比較してみましょう。
例えば、顕著なものだと「チャット」に変化が見られました。
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【Before】
出荷チーム
あれ?
このお客様の要望情報どうなってたっけ?
①チームで作ったメモ(呪いの書)を確認しよう。
②念のため、社内システムも見ておこう。
③アレ?メモとは違うことが書いてある…
不安だな。。営業チームにチャットで確認しよう。
(確認のチャットを減らすためにメモを
つくったはずなのに…)
Chat画面
出荷チーム
このお客様向けの、書類の書き方を確認したいです。
社内システムに必要な情報はあるはずですが?
(いつもどうしているか知らないから
急に聞かれても…。
出荷チームで持ってるんじゃないの?)
営業チーム
出荷チーム
あぁ、そうですか。分かりました。
(いや、私達で記入例はつくってるけど、
久しぶりだから最新情報か確認したいのに…
このまま出荷するのは不安だなぁ)
※こうしたやりとりが、
1日10件程発生していました...
【After】
出荷チーム
あれ?
このお客さんの要望情報どうなってたっけ?
①まずは、社内システムを見よう。
②社内システムに書いてあるから、これを見ればOKね。
最新情報を社内システムにアップするということを
決めたので、安心して出荷業務を進められる!
チャットしなくてもいいや!
※不毛な確認のチャットがゼロに!!
以前となにが変わった?
①そもそも「チャットをしなくなった」!
ルールができ、仕事の手順や判断に不安がなくなったので、
➡余計な確認のチャットをする必要が無くなりました。
➡チャット業務に時間に追われることも減りました。
②仕事を人に任せやすくなった
➡「どうしても私がやらなければ」という過度なプレッシャー
が和らいだ
➡ 休みがとりやすくなった!
➂他チームとの打ち合わせも、簡潔になった
➡使用する用語も整理・統一されたことで、スムーズになった
出荷チームの雰囲気にも変化が…!
みなさん、ストレスから解放されたようです!
業務中に笑いながら雑談をする余裕まで生まれ、
残業時間も改善前の1/3まで減りました!
社員旅行や飲み会なんてしなくても、
決めるべきことを決めたら、職場が明るくなったのです。
つまり、仕事に必要なコミュニケーションとは、
・適切ルールを決め、
・適切なタイミングで、
・共通の用語を使うことで
スムーズに仕事が回る状態にすること、なのです。
ープロジェクトを振り返ってー
Kさん、プロジェクト振り返って
どうでしたか?
経営チーム
Kさん
そうですね。
複雑さに心が折れそうでしたが、
落ち着いて要素を分解していけば、
解決できない問題はないと分かりました。
大切なのは、冷静に要素を分解すること
関係者同士にストレスがかかった状態だと、感情に振り回されて
単純な問題を複雑だと思い込んでしまいます。その状態では、
どこから手を付けて良いか分からないため、解決できません。
大切なのは、関係者同士の感情に振りまわされずに問題点を
分解して、事実を基に解決できるかという事だと思います。
落ち着いて紐解いていくと、案外単純なことが原因だと分かり、
あっさり解決するモノです。
仕事での良好なコミュニケーションの秘訣
一般的には良好なコミュニケーションをとるのは難しいと
言われますが、仕事においてはとてもシンプルです。
仕事でのコミュニケーション、それは
「関係者が合意し、ルールを決める」だけです。
それによって、仕事に関わる全員が不安なく仕事を回せていればOKなのです。
どんな時でも、まず明文化しよう
今回、仕組み・ルール(用語、タイミング、方法)など、
一見細かいことを「明文化」して関係者同士で合意を取ることが
いかに大切か実感しました。
明文化することで、お互いに勘違いやすれ違いをしないように
なり、仕事がとてもスムーズに流れるようになります。
部署が複数にまたがる場合は特に、明文化するべきだと
感じました。
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Kさんの今後やりたいことは....
Kさん
今回、出荷業務の内容自体は見直せて
いないんです~。
従来の工程を並び替えたりしただけなので。
なので今後は、そもそも業務内容や工程数は
今のままで最適なのか?検証していきたいです。
Kさん
また、出荷チームだけでなく、他にも
もっと良くなる可能性を秘めているチームは
沢山あるはずです!
今後は他のチームの改善にも着手して、ゆくゆくは会社全体がより働きやすい環境になっていく
手伝いが出来ればと考えています。
続
カイゼンは続くよどこまでも